目の前には小田急小田原線の線路が走る。東京都心から約1時間。朝のラッシュ時間には、6分に1本のペースで満員電車が通り過ぎていく。築30年の木造アパートがカタカタと揺れる。2階のワンルーム、家賃は2万円ほど。部屋には電気コンロ1台と流し台だけの小さなキッチンが付き、部屋の中央にあるハシゴを上ると狭いロフトがある。5畳ほどの部屋に、生温かい異臭が満ちていく。まさに戦慄の部屋である。
10月31日、警視庁に死体遺棄容疑で逮捕された白石隆浩容疑者(27才)は、「自宅アパートで死体を解体した。体から削いだ肉や内臓はゴミとして捨てた」と供述しているという。部屋からは、クーラーボックス3つと、コンテナボックス5つ、ノコギリが発見された。
「クーラーボックスの1つは玄関に置かれていたそうです。捜査員がフタを開けたところ、腐敗の激しい人間の頭部が2つ入っていました。部屋の中には、他にも箱が7つありました。その中からさらに7人分の人間の頭部が見つかりました。他のボックスには手の骨ばかり、また別の箱には足の骨ばかりなど、無数の骨を部位別に入れていたようです。におい消しなのか、猫のトイレ用の砂が大量にまぶしてあったそうです。遺体は少なくとも女性8人、男性1人でした」(捜査関係者)
すぐにアパート前にはワンボックスの捜査車両が何台も駆けつけた。捜査員は異臭が漂うボックスを抱えて、次々に車に積んでいった。
事件発覚のきっかけは、東京・八王子に住む女性(23才)が行方不明になったことだった。