介護業界では、近年、倒産や休廃業が急増している。東京商工リサーチによれば、2016年には老人福祉・介護事業の倒産件数は108件にのぼり、過去最多を更新した。倒産の原因には、介護報酬のマイナス改定や、資金調達力に劣る新規事業者の参入などが挙げられている。倒産の業種では訪問介護がもっとも多いが、有料老人ホームも例外ではない。
突然の倒産以外にも、老人ホームに入った後に待ち受ける“想定外”が存在する。それが「追加料金」である。
「特にトラブルが多いのはサ高住(サービス付き高齢者向け住宅)や住居型有料老人ホームです。必要な介護サービスを選べる従量制になっていて、利用した分だけ料金も加算されます。
はじめは要介護1でも、時間の経過とともに身体レベルは落ちていくので区分変更申請をかけて(介護保険の)要介護度を上げていきますが、要介護3以上になってくると、さらに自己負担額が増えていきます」(介護雑誌『あいらいふ』の佐藤恒伯編集長)
たとえば、老人ホームなどの施設では「週に2回以上の入浴機会の提供」が法律で定められているが、その入浴の介助や、朝の起床介助、夜の就寝介助、朝昼晩の食事の介助で介護保険はだいたい使い切ってしまう。それ以降は自己負担になるのだ。
「車椅子生活だからたまには散歩に連れて行ってほしい、というのも別料金。お風呂の回数を増やすのも追加料金になることがあります」(同前)
経営コンサルタントの濱田孝一氏も、こう続ける。