大学三大駅伝の2戦目となる全日本大学駅伝が、11月5日に開催される。意外なポイントを“見どころ”に挙げるのは陸上長距離専門ウェブメディア「EKIDEN NEWS」を主宰する西本武司氏だ。
「選手たちの『靴』です。実は今年、日本の長距離選手の足元では“静かな革命”が進んでいるのです」
これまで日本の陸上長距離トップアスリートの間では、薄いソールのシューズが主流だった。昨季大学駅伝三冠の絶対王者・青学大には、アディダスと今年3月まで専属契約していた「最強の靴職人」と称される三村仁司氏による、日本人の骨格や走り方に合わせたシューズが提供され、選手の足元を支えてきた。
三村氏はアシックス時代、高橋尚子や野口みずきが五輪女子マラソンで金メダルを獲得した際のシューズを製作した人物。その後は独立してアディダスと契約し、彼の手掛けた薄くて反発力の高いソールを使ったシューズで好成績を残す選手が存在感をみせてきた。だが、今季は様相が違ってきているというのだ。西本氏が語る。
「注目を集めているのが『ナイキ ズーム ヴェイパーフライ4%』です。5月にイタリアのF1サーキットで行なわれた、フルマラソンの2時間切りを目指すプロジェクト『ナイキ ブレイキング2』のために開発された製品です。このシューズは、これまで日本人選手には向かないとされてきた、かかと周りのソールが厚い、いわゆる『厚底』タイプのもの。厚いソールながら、軽さも追求し、それを実現したシューズです」