日本シリーズの熱戦が幕を下ろしたあとに、プロ野球選手たちを待ち受ける“真剣勝負”の場──それが「契約更改」だ。ユニフォームをスーツに着替えた選手たちが、フロント陣との交渉に臨む「密室の熱戦」に、今オフは大きな変化が起きる。
オールスター第1戦が開催された7月14日、プロ野球選手会がある文書を報道各社に通達した。
〈選手が契約更改にあたって「考える時間」を持てるようにするために〉
そう題された文書には、この日、名古屋市内で行なわれた選手会臨時大会での決議内容が記されていた。
「契約更改にあたって、球団側に“事前に提示内容を書面で通知してほしい”と求める内容でした。選手会の嶋基宏・会長(楽天)は“流れ作業のようにハンコを押さなければならないという声が、若手や一軍に上がったばかりの選手から出ている”と説明。これに対して、NPB(日本野球機構)は、“話し合いの途中で、一方的に選手会がメディアに発信した”と反発しました。
書面通知だと提示内容を事前にマスコミにリークされたり、ネットに流出したりすることを恐れたのでしょう。その後も話し合いが重ねられ、10月6日の折衝で、『交渉前日までに、提示する年俸額を口頭で伝える』という内容で合意した」(スポーツ紙デスク)
長年続いてきた契約更改の慣行が改められることになったのだ。選手会の森忠仁・事務局長はこう話す。
「高額年俸者は事前に下交渉をしているケースが少なくありませんが、それ以外の選手にとっては、これまでより提示額について考える時間ができる。まだまだ満足できる内容ではありませんが、ひとまず一歩前進といえます」