日本の生産性が低いことや、ブラック労働などが社会問題化し、政府は働き方改革を重要政策のひとつにあげている。経営コンサルタントの大前研一氏が、そのために必要な「見える化」が企業にとってもいかに重要かを解説する。
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いま多くの日本企業で、人材戦略の練り直しが求められている。とりわけ、ICT(情報通信技術)が急速に進化しビジネス環境が激変する中で、それらに十分対応できていないホワイトカラーの生産性の低さが日本企業の給料が上がらない原因ともなっている。
かつて私は、安倍政権の「働き方改革」を批判しつつ、会社を窮地から脱出させられる人材、あるいは従来よりも効率的で質の高い仕事のやり方を考えられる人材を育てるためのキーワードは「見える化」だ、と述べた。
実はこの「見える化」というのは非常に重要なキーワードで、採用や育成についてだけでなく、開発や構想を練る上でも武器となる“世界標準”の能力である。
たとえば、グーグルのラリー・ペイジやフェイスブックのマーク・ザッカーバーグ、テスラのイーロン・マスクら、世界で時価総額トップ10に入るような巨大企業を生み出した起業家たちの共通項は、プログラミングという「見える化」していく分野で子供の頃から頭角を現わしていたことである。