出会い系サイトをめぐるトラブルは後を絶たないので、業者が摘発されたなどのニュースをきいても「またか」と慣れてしまっているだろう。ところが先日、60代の男性が運営会社を相手に訴えた裁判は、慣れきった人にとっても驚きの内容だった。3年間で約5000万円を費やした男性が支払ったメールの内容の衝撃から、ネットニュース編集者の中川淳一郎氏が出会い系における男女格差について思いをめぐらせた。
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ネットでは妙に人々のツボにはまってしまう言葉というものが時に登場する。10月に若干話題となったのが「ズーロア・ドッテイナユ」である。59歳の誕生日までに恋人が欲しいと考えた男性(現在は60代)が出会い系サイトに約5000万円を注ぎ込み、“女性”とメールのやり取りをし、会う約束を取り付けたにもかかわらずドタキャンをされるなどし、会うことができなかった。
システムとしては、会員登録したうえで1ポイントを10円で購入し、様々なサイト内の行為に課金する。メール送信には22ポイントが必要で受信には24ポイント必要だ。女性のプロフィールを見るのにもポイントが必要で、「出会いたい」という男の欲望を叶えるためにとにかくカネを使わせるつくりになっている。
運営側としては、会員に何度もメールを送らせればより儲かるわけで、思わせぶりなメールを送るなどすれば、よりメール送信回数を増やすことができる。こうしたことからサクラであると男性はサイト運営会社を訴え、男性が勝訴した。裁判所は、登録された女性の一部の写真は台湾や香港のモデルだったと認定した。