“投手は何人でも欲しい”とは補強にいそしむストーブリーグでよく聞かれる言葉だが、その“女房役”をここまでかき集めるのは珍しい。先のドラフト会議で前代未聞の「捕手4人指名」を行なった巨人である。
2位で岸田行倫(21・大阪ガス)、同3位で大城卓三(24・NTT西日本)、育成枠でも5位・広畑塁(22・立正大)、同6位・小山翔平(21・関西大)を指名した。
代わりにベテランの相川亮二(41)が引退、実松一成(36)が戦力外となるなど4人の捕手が抜け、これで巨人の捕手9人は「全員20代」ということになる。
捕手育成を急務と考える危機感は伝わってくるが、「これでは逆効果」という声も聞かれる。中日で19年間マスクを被った野球評論家の木俣達彦氏はこういう。
「巨人は小林誠司(28)を根気強く育て、宇佐見真吾(24)をサブで使うという方針かと思っていた。しかしこれだけ社会人や大学生の捕手を補強されれば、小林・宇佐見から見れば“お前らなんて信用してない”と言われたも同然。“くそったれ!”と奮起できればいいが、焦りを生むばかりの可能性もある」
一方、この大所帯では新人たちに十分なチャンスが与えられるかも疑問だ。