11月12日に初日を迎える大相撲九州場所。4横綱の揃い踏みが実現しそうななか(*脚注)、幕内上位のガチンコ力士の気合いは相当のものだ。全員、手負いの状態での出場となる4横綱を迎え撃つ幕内上位勢の充実ぶりが目立つ。まず、小結には「新入幕から3場所連続2ケタ勝ち星」を成し遂げた21歳の新鋭・阿武咲(おうのしょう)が闘志をみなぎらせている。
番付発表の会見では、「横綱(稀勢の里)との対戦が楽しみです」と不敵な笑みを浮かべた。
阿武咲には十両時代から稀勢の里が目をかけ、巡業の稽古などで互いの手の内は知り尽くした間柄。「師匠の阿武松親方(元関脇・益荒雄)は同じ新小結(1987年3月場所)で2横綱4大関を倒して“白いウルフ旋風”を巻き起こした。本人もそれに続くべく気合い十分。新小結は初日に横綱と当たるから、いきなりの波乱がありうる」(同前)のだ。
さらに、若手ガチンコ平幕には「4横綱が揃う」ことが何より発奮材料になる。
「金星を一つあげれば褒賞金は年額で24万円もアップする。先場所、日馬富士は一人で4つも金星を配給しましたが、今場所はその金星のチャンスが4倍になった。平幕力士は、全員が4横綱の取組に全力を出してくる」(担当記者)
前頭筆頭には、先場所2日目に新大関・高安を病院送りにした玉鷲(たまわし)と、21歳にして初の殊勲賞をもぎ取った貴景勝(たかけいしょう)が並ぶ。さらに注目は東の前頭3枚目に上がった松鳳山(しょうほうざん)だ。