血液には健康診断や人間ドックでの測定結果に表われにくいリスクもある。それが「血圧サージ」だ。NHKスペシャル(10月29日放送)や本誌・週刊ポスト(10月30日発売)の特集でこの新概念が注目を集めている。
「血圧サージ」とは、血圧が高波のように急上昇・急降下する現象を指す。一般的に、高血圧の基準は上(収縮期)が140mmHg以上、下(拡張期)が90mmHg以上とされているが、血圧サージが厄介なのは、普段の血圧が正常値であっても起こりうるうえ、通常の高血圧以上のリスクをもたらす可能性があることだ。
NHKスペシャルで「血圧サージ」の概念を提唱した自治医科大学教授の苅尾七臣氏らの調査によれば、健診時の血圧が150mmHg以上の高血圧患者の場合、心筋梗塞のリスクは正常者のおよそ1.4倍だった。しかし、日中の血圧が130mmHg未満であるにもかかわらず、起床後の血圧が145mmHg以上に上昇する“血圧サージ患者”の場合、心筋梗塞リスクは2.47倍にまで高まるという。
また同教授らが行なった別の調査では、夜間の最低血圧と起床後2時間の最高血圧の差が55mmHg以上開いている場合、脳卒中発生率も2.7倍に高まったという。
◆「アルツハイマー型」が増える
血圧サージが引き起こすのは心疾患や脳血管疾患だけに留まらない。認知症との関連性も指摘されているのだ。