日本橋と銀座に店を構え、昼どきには行列ができる繁盛店の『よもだそば』。朝食目当ての客が一段落した午前9時。日本橋店を訪れると、人が行き交うのがやっとの幅しかない厨房で、店員たちがランチに向けて仕込みに勤しんでいた。天ぷら担当者は、ごぼう天、厚さ5センチもあろうかという名物の特大かき揚げやニラ天などを次々に揚げていく。常になにかが揚げられているため、この店では揚げたての天ぷらにありつけることが多い。
そしてその横では、ファンの多い自家製カレーの仕込みが始まった。刻み玉ねぎを丁寧に炒め、トマトや骨付き鶏もも肉を加えて1時間じっくり煮込む。
次はツユ作り。化学調味料を使用しないこだわりのツユは、1日に5~6回出汁をとる。このまめさが、いつでも風味豊かなツユを味わえる理由なのだ。さらに店の地階では、そばの実の外皮も挽いた色の濃いそばが次々と作られていた。
とにかく常にフル回転のよもだそば。食材にこだわり、一から丁寧に作る──。ワンコインでお釣りがくる一杯の中に、店の心意気が凝縮していた。
住所:中央区日本橋2-1-20 八重洲仲通りビル1F
営業時間:月~金 7時~22時、土・日・祝 10時~15時
定休日:なし
※他に銀座店あり
●取材・文/本橋隆司、撮影/安藤青太
※週刊ポスト2017年11月17日号