薬の副作用には様々あるが、なかでもED=勃起不全のリスクは見落とされがちだった。しかし、ED患者のうち、25%が「薬剤性ED」との報告がある。EDは、性欲が少なくなる「性欲低下」、勃起しなかったり中折れしてしまう「勃起障害」、早漏や遅漏が生じる「射精障害」に大別される。以下、代表的な薬ごとに見ていく。
■降圧剤
高血圧はEDを招く原因になり得るが、血圧を抑えるための降圧剤が勃起障害をもたらすこともある。代表的な降圧剤である「利尿剤」「カルシウム拮抗薬」「β遮断薬」は、日本性機能学会が監修する『ED診療ガイドライン2012年版』に、「EDを引き起こす可能性のある薬剤」と記載されており、多くの降圧剤の添付文書にも、副作用としてEDが明記されている。
2006年にギリシャで行なわれた調査では、降圧剤を服用する60歳以上の高血圧患者の40.4%がEDに罹患しており、無投薬の高血圧患者より罹患率が高かった。また、単剤投与の患者よりも、2剤以上の降圧剤を服用している患者のほうがEDになる割合が高かった。
■胃薬
数ある胃薬のうち、胃酸分泌を抑制する「H2ブロッカー」には副作用として勃起障害がある。ED治療専門院・渋谷三丁目クリニックの古市昌之院長がこう語る。
「H2ブロッカーは血管を拡張させるヒスタミンの働きを阻害するため、血流が悪化してEDを招くと言われています」