がんを告知された直後はどんなに冷静な人でも混乱するもの。そんな状態で、誤った判断をしないよう、がんと確定したらすぐ、情報収集をするのが重要になる。
「自分ががんだと説明されると“頭が真っ白になった”と言うかたが多いです」と話すのは、がん患者の子供をサポートするNPO法人ホープツリー代表であり、医療ソーシャルワーカーの大沢かおりさんだ。
「あと何年生きられる? 子供を育てるのは無理? お金は? 仕事は? など、一気にいろいろな不安が襲ってくるからです」(大沢さん)
そうした不安を鎮めるために大切なのが、正しい情報収集だという。昨秋に乳がんが発覚した起業家の川崎貴子さん(45才)は実体験からこう話す。
「胸のしこりに気づいて検査を受けた時、医師の一挙手一投足を見て、乳がんだろうと予測。告知を待たずにすぐ、乳がん本や患者ブログを読み、告知後は尋常じゃない精神状態になることも頭に入れたうえで検査に臨みました。おかげで冷静な状態で話を進められましたね」
ただし、ネットの情報は玉石混交。エビデンスに基づいた医療機関発信の情報を参考にしたい。
◆勉強しないと自分で治療法を選択できない!
4年前に乳がんの治療を始めた河合静江さん(仮名・42才・自営業)が、当時を振り返る。
「手術で全摘した後、医師に“抗がん剤をやりますか?”と聞かれました。全部取ったら治療は終わりだと思っていたので、頭の中は“?”だらけ。どんな抗がん剤で治療をするかもわからないので、医師の判断に任せるしかありませんでした。自分で勉強していないと、医師と会話も通じず、治療の選択もできないんだと痛感しました」
◆がんになったら頼れる相談先
●がん相談支援センター
https://hospdb.ganjoho.jp/kyoten
医師に聞けなかった治療の不明点から治療費がどのくらいかかるのか、子供のことや仕事のことまで、ちょっとした不安や疑問は、全国に300以上あるがん診療連携拠点病院の「がん相談支援センター」に相談するのがおすすめ。上記URLから近くの拠点を探せる。医療ソーシャルワーカーや看護師が相談に乗ってくれる。
●NPO法人ホープツリー
https://hope-tree.jp/
前出の医療ソーシャルワーカー大沢さんが代表を務め、医療者が運営する、がんになった親を持つ子供へのサポート情報サイト。小学生の子供を対象としたプログラムの紹介から、子供にがんについて話す時に使える絵本などが紹介されている。