大きな鶏団子とにんじん、トロトロに煮込まれたねぎが、比内地鶏スープの中で湯気を立てている。副菜は秋田名物の焼ききりたんぽ。たっぷりのみそだれがまんべんなく塗られている。彩りは抜群で、お腹だけでなく目も満足させてくれる──。
“芸能界のグルメ王”として知られるアンジャッシュの渡部建(45才)が、初めて監修を務めた、わずか20分で作れる「料理キット」。シリーズ第1弾は、妻・佐々木希(29才)の故郷である秋田の食材を使ったものということもあって、大きな注目を集めている。
料理キットとは、カットされた食材と調味料が1食分セットになった宅配商品のことだ。ブームが過熱するなか、今さまざまなブランドが工夫を凝らしたメニューを発売。いずれも10~20分程度でおいしい料理が完成する。
スーパーに並ぶカット野菜との最大の違いは、添えられたレシピを見ながら、同包された食材と調味料だけを使って調理すれば、カンタンに料理ができあがるところにある。食材を余らせる心配はないし、メニューを考えたり、買い物をしたり、野菜を切ったりする必要もない。
日本では、2013年7月に有機・無添加食品の通販会社「オイシックス」が提供を始めたのがはじまりで、忙しい女性からの人気を徐々に集め、今や、「らでぃっしゅぼーや」や「コープデリ」、「生活クラブ」なども趣向を凝らした料理キットを提供している。
料理キットが支持される理由について、『料理は女の義務ですか』(新潮社)を著書にもつ、生活史研究家の阿古真理さんが話す。
「共働きの夫婦が増え、料理に時間をかけられない女性が増えました。また現代の女性の多くは、家の手伝いをしながら料理を覚えるという経験がないので、料理があまり上手ではない。しかも、外食などおいしい食事に慣れているので、自分の作るものとのギャップを感じてしまうという問題があります。
しかし、料理キットなら誰でもおいしい料理が作れる。これまで彼女たちを支えてきたのは、お総菜や、レトルトや冷凍食品などでしたが、料理キットを使って少しでも調理をすることで“まったく料理をしない”という罪悪感を払拭できることも人気の理由の1つでしょう」
生活に関係する商品を比較検証する雑誌『LDK』編集部の久佐然子さんは見た目の美しさに注目する。
「誰にでも見栄えのいい料理ができるので、“インスタ映え”します」
人気ブロガーのあにゃさんは料理キットをフル活用しているママの1人。仕事もしているあにゃさんは、育児休暇を終えて仕事に復帰するときに、料理にかける時間がないと思い、料理キットを使い始めたという。