11月9日に行われた園遊会の舞台となる赤坂御苑は、赤坂御用地のほぼ中央に位置する回遊式の庭園だ。明治時代の「観桜会」「観菊会」を起源に持ち、戦中の中断を経て、戦後の1954年に園遊会として復活。最初は秋のみだったのが、1965年から年2回の開催になった。
「招待状をいただいたのは、園遊会のおよそ1か月前。その少し前に、肩書や経歴を確認する連絡がきました」
そう話すのは、2015年の秋の園遊会に招待された東京工業大学名誉教授の赤堀侃司(かんじ)さん。今回、体験談を明かした。
「招待状には金色の菊のご紋がついており、私と妻に対して両陛下からのお招きがあることが宮内庁長官の名前で綴られていました。招待状のほかにはドレスコードなどについての注意書きや、黄色の駐車券が入っていました。駐車券の色によって、入場する門が振り分けられていました」(赤堀さん)
両陛下や皇族方が登場されるシーンが印象深いが、招待客たちは赤坂御用地に入場してから、思い思いに時間を過ごすという。
「私たちは、お声掛けの1時間ほど前に受付を済ませました。受付で招待状を見せると、名簿で確認して名札を渡してくれます。赤坂御苑までの100mほどの道のりは、木々に囲まれてとても爽快な気持ちにさせるものでした。
会場には大きなテントがずらっと並び、そこで立食用の細巻きやサンドイッチ、焼き鳥やジンギスカンのほか、一口サイズのケーキなども準備されていました。料理やドリンクはしっかりとした白いお皿やガラスのコップで提供され、サービスするスタッフもたくさんいました」(前出・赤堀さん)
都心にあって、赤坂御苑まで喧噪は届かない。楽団による演奏が優雅な空気感を演出する。登場のアナウンスのあと、両陛下を先頭に皇族方が姿をお見せになる。