神奈川県座間市のアパートから男女9人の頭部遺体が見つかった事件。白石隆浩容疑者(27)は自分に不利になることばかり供述しているという。これに対し、この事件を取材する社会部記者からは「なぜこんなにしゃべるのか理解できなくて不気味です」と困惑の声も出ている。そして、白石容疑者がこれまでの自供通りに、9人を殺害した事実が立証されれば、最高刑は死刑となる。
だが、これまで明らかになった第三者の証言や物的証拠の多くは、自殺願望があったと思われる女性を誘う手口、あるいは遺体の処理に関するものばかりで「殺人」に直結するものは自供以外には報じられてない。
公判段階で白石容疑者が供述を翻し、「頼まれて自殺を手伝っただけ」と主張したらどうなるのか──。「嘱託殺人」であれば、最高刑は懲役7年だ。アトム市川船橋法律事務所の高橋裕樹弁護士の解説。
「単純殺人と嘱託殺人の境界線は、“殺人の嘱託”があるかないかに尽きます。白石容疑者と知り合った女性が『全財産をくれるなら殺してやる』といわれたとの証言も報じられましたが、そうした呼びかけに被害者が応じたという話なら嘱託殺人の可能性も出てくる。
現場は密室で、遺体は頭部と骨しか残っていないので死因の特定も難しい。容疑者の供述だけでなく、当時の状況が推し量られるような証拠を積み上げられるかが殺人罪を立証する上でポイントになってきます」
簡単にはいかないとみるのは前出・社会部記者だ。
「捜査関係者から供述がやたらとリークされるのは、“自供以外に立証が難しい”という焦りではないか。スマホの解析で白石容疑者が『嘱託殺人』『何人殺せば死刑』と検索した形跡も出ている」