北朝鮮の核ミサイルをはじめ、国際情勢は緊迫度を増し、国内においては政局がめまぐるしく変化している。混迷を深める現代に、偉人たちが残したメッセージは多くの示唆を与えてくれるはずだ。落合信彦氏が、イギリスを救った稀代の政治家、マーガレット・サッチャー元首相の言葉を紹介する。
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北朝鮮の核ミサイル開発を巡り、金正恩とトランプの間で低レベルの舌戦が繰り広げられている。決断力のないトランプに北朝鮮の暴走を止めることはできないだろう。一方、未曽有の国難を決断力と強い意志によって乗り越えたのが「鉄の女」と称されたマーガレット・サッチャーである。
1982年4月2日、アルゼンチン陸軍が英領フォークランド諸島に上陸すると、彼女は同月5日には機動部隊を出撃させた。近年、サッチャーを好戦的と見る者が少なくないがそれは事実に反する。彼女はむしろ戦争嫌いで、首相に就任してから他国への軍事介入を避けてきた。しかし、イギリスの主権と領土を侵すアルゼンチンの暴挙に対しては、一切のためらいもなく、すぐさま動いたのだ。かつて私のインタビュー取材に対して、彼女はその時の覚悟をこう語っていた。
「確かに戦争は悪です。しかし、その戦争によってもっと巨大な悪をストップせねばならぬこともあります。もし連合国がヒットラーをストップしなかったら今頃世界はどうなっていましたか」