2019年3月末といわれる陛下の退位まで、残り1年5か月。天皇皇后両陛下の「終の住処」を巡り喫緊の検討が行われているという。現在、両陛下は皇居にある御所で日々を送られているが、いずれは新たな天皇に即位した皇太子ご一家に明け渡されるのが濃厚だ。その後両陛下は、現在皇太子ご一家が生活され、皇太子同妃時代を過ごされた東宮御所にお戻りになるというのが既定路線だという。また、御所と東宮御所は改修する必要があるとのことで、その期間中、両陛下にはどこかに仮住まいしていただくこととなりそうだ。
昭和天皇が崩御して皇太后となった香淳皇后は、そのままのお住まいで暮らしを続けた。それまで御所と呼ばれていた建物は、皇太后の住居であることを表す「大宮」という名がつけられ、皇居内の地区名とあわせて「吹上大宮御所」と名称が変更された。1993年に完成した現在の御所は、当時は「新御所」とも呼ばれていた。2000年に香淳皇后が亡くなってからは、吹上大宮御所もまた無人のまま宮内庁によって管理されている。
「当初は(両陛下が)吹上大宮御所に転居される案もあったそうです。同じ皇居内にあり、大きく生活環境が変わらないことは、両陛下のご負担にならないと考えたのでしょう」(皇室ジャーナリスト)
他の転居候補地にもまた解決すべき課題は山積している。
「(候補地のひとつである)旧高松宮邸(東京都港区)は、使われなくなってからすでに10年以上が経過しています。管理されているとはいえ、ところどころ雨漏りをしている部分もあるそうです。加えて、事務方やお世話の人間の執務スペースも必要になってきます。退位された陛下には、それまでより少なくなるとはいえ、数十人単位で職員がつくと思いますが、旧高松宮邸の事務室は5~6人が限度です」(前出・皇室ジャーナリスト)
対して赤坂東邸は、皇族方のお住まいの改装などの際に頻繁に使用されてきた。1990年2月に独立された皇太子さまが居を構えられ、東宮御所の大規模修繕が行われた1997年と2008年にも皇太子ご一家が仮住まいとして生活された。現在でも、日常的に秋篠宮さまが使用されており、比較的手間をかけずに両陛下のお住まいにできるという。