“血液検査革命”で、あらゆる病気が発見できる時代になりつつある──。血液中に含まれる微量な元素の濃度測定などにより、がんの発見と、部位の特定を実現する高精度な検査法が実用化間近である。
そして、血液検査でわかる病気はがんだけではなく、突然襲ってくる脳梗塞や心筋梗塞も、血液検査で発症リスクを判定する検査法がすでに実用化されている。また、認知症の前段階とされる「軽度認知障害(MCI)」を判定する「MCIスクリーニング」が、筑波大学の研究チームにより開発され、2015年に実用化された。
さらに、これまで問診で診断していたうつ病も、血液検査による判定が普及しつつある。川村総合診療院の川村則行院長は、採血によるうつ病判定法を開発した。
「脳内には快感や喜びの感情を創り出すアナンダミドという物質があります。それに関わるリン酸エタノールアミン(PEA)の血漿中の濃度を測定することでうつ病を判定する『PEA測定』を開発しました。
PEA濃度が1.42マイクロモーラーより低い人は、88%がうつ病と考えられます。この情報をもとに、うつ病治療の補助として医師の診断に役立てることができるようになりました」(川村氏)
糖尿病予備群も血液検査によるリスク判定が実用化されている。予防医療の専門企業、NKメディコでは、大阪大学発のベンチャー「サインポスト」社と提携し、糖尿病などの生活習慣病につながる高血糖症リスク判定検査「サインポスト遺伝子検査」も実施している。