芸能

甲冑姿の浜田雅功がAmazonで叫ぶ『戦闘車』 並の番組に終わる

地上波テレビの予定調和から脱せるか(イラスト:ヨシムラヒロム)

 地上波テレビで繰り返し広告CMが放送されていたAmazonプライム・ビデオの新番組『戦闘車』。甲冑姿のダウンタウン・浜田雅功と、千原ジュニアが叫ぶビジュアルが印象に残っている人も多いだろう。イラストレーター、コラムニストのヨシムラヒロム氏が、ネット番組だからこそ期待されることと、テレビ的な番組構成について考えた。

 * * *
 約1年前、Amazonプライム・ビデオの会員になった。いや、無料体験30日の解約を忘れた結果、なっていた。これが正確。

 当初、夢中になったのが「ドキュメンタル」松本人志が主催する芸人達のにらめっこ大会だ。そして、今さっきまで見ていたのが『戦闘車』。

 松本から遅れること1年、相方の浜田雅功が遂にAmazonデビューした作品。

『戦闘車』は、読んで字のごとく”車が戦う”番組。浜田率いる浜田軍8名、千原ジュニア率いる8名がカーバトルを繰り広げる。

 出演者全員が命懸けで様々な試合に挑むデンジャーテイメント (デンジャー×エンターテイメント)。

 こんなキャッチコピーを謳われれば、期待も上がる。放送前からAmazonプライム・ビデオのページには、甲冑をまとった浜田とジュニアのバナー広告。他の動画をみるたびに流れる『戦闘車』のCM。

 タレントが運転する車と車がぶつかり合う、地上波では絶対に不可能な絵面。配信日を指折り数えていた。

 10月6日、第1話「集結」が公開された。そこで分かったのが甲冑をまとった理由、単純に戦闘するわけではない。下記の舞台設定で戦うのだ。

 平成二十九年、富士の裾野に豪華絢爛、艶やかで煌びやかな城が一夜にして築かれた。その要塞を守るのは潤沢な資金でかき集められた南蛮渡来の戦闘車8台。そんな常勝軍団を率いるのは若き武将・千原ジュニア! 一方、千原城築城の噂をききつけた、ナニワのドスケベ大将浜田雅功率いる浜田軍は、千原城を落とすため純国産車を中心とした戦闘車を率いて進軍を開始(原文ママ)。

 よーするに、浜田軍の国産車VSジュニア軍の外国車という構図。時折、甲冑をまとった浜田とジュニアのコントがはいる。

 この2つが見ていてキツかった。

 全5話で4競技を行う、そのたびに使用する車の説明がはいる。1度なら良いが、しかし毎度となるとたまらない。ナレーションの文言は同じなので、すでに知ったカー情報を何度も聞くハメに。

「メルセデス・ベンツ S320。Sクラスはベンツのフラッシグモデルで誰もが憧れる最高のラグジュアリーカー」

 コチラは早く勝負が見たいのに、上記の解説でイチイチ中断。よって番組のリズムが崩れる。亀田興毅の世界戦並みに試合が始まらない。

 そして、甲冑をまとう戦国的な舞台設定の意味のなさよ。あくまでも番組のスパイスであるトリッキーな設定が「戦闘車」では全面に出過ぎ。これまたイチうるさい。

千原「この城は何人たりとも崩せまい!」
浜田「その城、落としに行くぞ!」

 と、2人が繰り広げるコントもおざなり。視聴者が気まずくなるクオリティの低さに辟易。そして、演者の2人が萎えていることが画面を通してわかる。

“国産車と外国車が戦う”優れたコンセプトは、2つのマイナス要素によって相殺。結果『戦闘車』は並の番組に仕上がった。

「マッドマックス 怒りのデス・ロード」の興奮とは言わないが、新たなカーバラエティのあり方を提示する可能性は十分あった。それだけに残念で仕方がない。

関連記事

トピックス

精力的な音楽活動を続けているASKA(時事通信フォト)
ASKAが10年ぶりにNHK「世界的音楽番組」に出演決定 局内では“慎重論”も、制作は「紅白目玉」としてオファー
NEWSポストセブン
2022年、公安部時代の増田美希子氏。(共同)
「警察庁で目を惹く華やかな “えんじ色ワンピ”で執務」増田美希子警視長(47)の知人らが証言する“本当の評判”と“高校時代ハイスペの萌芽”《福井県警本部長に内定》
NEWSポストセブン
ショーンK氏
《信頼関係があったメディアにも全部手のひらを返されて》ショーンKとの一問一答「もっとメディアに出たいと思ったことは一度もない」「僕はサンドバック状態ですから」
NEWSポストセブン
悠仁さまが大学内で撮影された写真や動画が“中国版インスタ”に多数投稿されている事態に(撮影/JMPA)
筑波大学に進学された悠仁さま、構内で撮影された写真や動画が“中国版インスタ”に多数投稿「皇室制度の根幹を揺るがす事態に発展しかねない」の指摘も
女性セブン
奈良公園と観光客が戯れる様子を投稿したショート動画が物議に(TikTokより、現在は削除ずみ)
《シカに目がいかない》奈良公園で女性観光客がしゃがむ姿などをアップ…投稿内容に物議「露出系とは違う」「無断公開では」
NEWSポストセブン
ショーンK氏が千葉県君津市で講演会を開くという(かずさFM公式サイトより)
《ショーンKの現在を直撃》フード付きパーカー姿で向かった雑居ビルには「日焼けサロン」「占い」…本人は「私は愛する人間たちと幸せに生きているだけなんです」
NEWSポストセブン
気になる「継投策」(時事通信フォト)
阪神・藤川球児監督に浮上した“継投ベタ”問題 「守護神出身ゆえの焦り」「“炎の10連投”の成功体験」の弊害を指摘するOBも
週刊ポスト
長女が誕生した大谷と真美子さん(アフロ)
《大谷翔平に長女が誕生》真美子さん「出産目前」に1人で訪れた場所 「ゆったり服」で大谷の白ポルシェに乗って
NEWSポストセブン
九谷焼の窯元「錦山窯」を訪ねられた佳子さま(2025年4月、石川県・小松市。撮影/JMPA)
佳子さまが被災地訪問で見せられた“紀子さま風スーツ”の着こなし 「襟なし×スカート」の淡色セットアップ 
NEWSポストセブン
第一子出産に向け準備を進める真美子さん
【ベビー誕生の大谷翔平・真美子さんに大きな試練】出産後のドジャースは遠征だらけ「真美子さんが孤独を感じ、すれ違いになる懸念」指摘する声
女性セブン
『続・続・最後から二番目の恋』でW主演を務める中井貴一と小泉今日子
なぜ11年ぶり続編『続・続・最後から二番目の恋』は好発進できたのか 小泉今日子と中井貴一、月9ドラマ30年ぶりW主演の“因縁と信頼” 
NEWSポストセブン
同僚に薬物を持ったとして元琉球放送アナウンサーの大坪彩織被告が逮捕された(時事通信フォト/HPより(現在は削除済み)
同僚アナに薬を盛った沖縄の大坪彩織元アナ(24)の“執念深い犯行” 地元メディア関係者が「“ちむひじるぅ(冷たい)”なん じゃないか」と呟いたワケ《傷害罪で起訴》
NEWSポストセブン