医学の進歩とともに遺伝子分野の研究が進んだため、今ではわずかな血液や唾液のサンプルから、その人間の全遺伝情報が解析できるようになった。それとともに、病気は「遺伝」が原因となるのか、それとも生活習慣などの「環境」が引き起こすのかという古くからの課題でも研究が進んでいる。
病気と遺伝要因の関係を考察する際、有効とされるのが「双子研究」だ。
双子のうち、「一卵性双生児」は遺伝子がほぼ100%一致するが、「二卵性双生児」は平均して50%の一致に止まる。同じ環境に育つ双子が病気を発症した際、一卵性と二卵性でどのように容態が違うかを調べることで、病気について「遺伝の影響によるものか、環境の影響によるものか」を推測できるのだ。
2013年には米国人医師のデイビッド・B・エイガス氏が双子研究などを用いて、26の病気の発症に遺伝的要因と環境的要因の影響が何割ほど認められるかを発表して大きな話題となった。
2型糖尿病64%、心筋梗塞(男)57%、アルツハイマー病62%……その驚くべき遺伝の割合の高さは、世界中で真偽をめぐる論争となった。