食習慣、運動習慣などが発症原因に深く関与する生活習慣病は環境的要素が大きいと考えられがちだが、実は遺伝とも関係している。中でも、1000万人を超える患者のいる高血圧は、遺伝的要素の占める割合が高い病気だ。
「高血圧になった人の原因を究明すると、30~50%が遺伝的要因で、残りが生活習慣の乱れから発症している。双子研究で、二卵性双生児に比べて一卵性双生児のほうが2人とも高血圧になる割合が高いことからも、遺伝子が高血圧に強い影響を与えることがうかがえる」(新潟大学医学部名誉教授・岡田正彦氏)
両親が高血圧のケースでは、子供は約50%の確率で高血圧を発症し、片方の親の場合は20~30%との報告もある。
糖尿病も、かつては小児糖尿病とも呼ばれる1型は遺伝性だが、2型は生活習慣病のため遺伝要因は少ない、などと言われていた。しかしその説はいまや覆されている。
「これまでの世界的研究から『糖尿病は遺伝する』といえます。片方の親が糖尿病(2型)の場合、子供が糖尿病になる確率は27%で、両親が糖尿病の場合は58%になるというデータがあります」(みなと芝クリニック院長の川本徹氏)
2013年に米国人医師のデイビッド・B・エイガス氏が双子研究などを用いて、26の病気の発症に遺伝的要因と環境的要因の影響が何割ほど認められるかを調査したが、その調査でも、糖尿病の64%が遺伝的要因とされる。