角界を揺るがす「暴行事件」のきっかけは、同郷の大先輩である横綱の説教中に、平幕の貴ノ岩がスマートフォンを操作したことだったと伝えられている。もちろん暴力は許されないが、たしかに“そういう若いヤツ”は増えている気がする。平然と「スマホいじり」を続ける若者への適切な対処法とは。
仕事帰りの居酒屋で、部下のミスについて、時に優しく慰めながら指導の言葉を並べていたら……部下の視線はテーブルの下のスマホに向いていた──。
そんな状況に出くわした時、“オトナ”はどう振る舞うべきか。『島耕作』シリーズの著者で漫画家の弘兼憲史氏(70)は「言語道断」と声を荒らげる。
「礼儀として考えられません。例えば部長から説教をされている時なら、どんなに緊急の着信があったとしても、“切れ”なり“取りなさい”なり言われるまでは勝手に動かない。相手に聞かれたことを『調べている(検索している)』という言い訳も聞きますが、それだって後でやるべきです。
今は怒られ方を知らない人が多い。私は会社に入って怒鳴りつけられた時に、“相手の目をじっと見て、反省した形をみせること”がサラリーマンにとって重要だと学びました。今の時代でも、スマホに目を落とさずに相手の目を見るのが当然の礼儀でしょう」
スマホを持たない「ガラケー派」である上智大学の碓井広義教授(62、メディア文化論)が普段接する学生は、「スマホ依存症」ばかりだ。
「今の若者にとってスマホは“自分”そのもの。スマホばかりいじるのは、自分の都合を何よりも優先させるからです。24時間スマホに接しているのが当たり前になり、その行為が目の前にいる相手とのコミュニケーションを遮断して、不快感を与えていることが理解できないのです」