平昌五輪まであと2か月あまり。フィギュアスケートやスキージャンプ、スピードスケートなどの花形競技に加え、今回は史上初の男女ペア出場となったカーリングにもメダルの期待が集っている。カーリングといえば、あの「シャカシャカ」が真っ先に思い浮かぶ。今さらだが、あの「シャカシャカ」にはどんな意味があるのか? そして日本のメダル獲得は「シャカシャカ」次第とされるが、本当なのか? カーリング取材を続けるスポーツライターの竹田聡一郎氏が解説する。
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「イエスイエス、イエース」
シャウトとともに、滑るストーンの進みに合わせてブラシで氷上を履く。カーリングではお馴染み、というかむしろカーリングといえばあのシャカシャカを思い浮かべる人も多いのではないか。
スウィープである。
しかし、このスウィープ。カーリングの代名詞的なプレーでありながら、「清掃員」「露払い」などと揶揄されて、意外と理解されていないことが多い。しかし、清掃員も露払いもまったくの的外れというわけでもないのだ。
スコットランドに起源を持つと言われるこのスポーツ、元々は屋外の湖などでプレーされていたようで、古くはストーンの前のゴミ等を取り除く目的でスウィープが行われていた。その名残で、屋内スポーツとして確立された現在も、選手の持つスティックは「ブラシ」と呼ばれている。
では、「シャカシャカ」の現代の目的といえば、微調整という言葉がもっとも端的にすべてを表している。
カーリングのシート(プレイエリア)には試合前に、水あるいはぬるま湯を撒き、アイスにぺブルと呼ばれる小さな氷の粒を作る。このペブルがストーンとの摩擦を生んで石がゆっくりと減速するのだが、そのペブルをブラシ、正確に言えばブラシの先端についたナイロンパッドで履いて溶かし、ストーンと氷の摩擦を小さくすることでストーンの進行距離を伸ばす。五輪に出場するようなトップレベルのチームが本気でスウィープすると、2メートル近くストーンを進ませることが可能とも言われている。
また、距離を伸ばすだけではなく、一定方向からスウィープを行うことで、カールを始めたストーンをより曲げる、あるいは曲げないようにするというある程度のコントロールも可能だ。
◆「日本カーリング筋肉部部長」
現在、カナダに長期遠征中の平昌五輪代表チーム、SC軽井沢クラブのスキップ・両角友佑(もろずみ・ゆうすけ)選手は「大きくショットウェイト(石を投げる速さ)を間違えなければ、うちのスウィーパーは(石を)置きたいところに運んでくれる」と日頃から語っているが、この競技においてスウィープの役割は小さくない。
では、どんなスウィーパーが優れた選手なのか。同じくSC軽井沢クラブのメンバーでフィフス(リザーブ)の平田洸介選手に聞いてみた。