1年で最も体調管理が難しい季節がやってきた。寒い冬はインフルエンザや風邪だけでなく、「ヒートショック」と呼ばれる脳疾患、心疾患のリスクとも隣り合わせだけに、さまざまな健康対策が実践されている。でも、もしかしたらその習慣は逆効果かもしれない。
例えば、底冷えのする日はお風呂でゆっくり温まりたいが、入浴時には危険も多い。近年、広く知られるようになってきたのが「ヒートショック」だ。冷えた体で熱い湯に入ると、急激な寒暖差で血圧が急上昇し、脳卒中や心筋梗塞などのリスクを高める。
そのため「40度前後のぬるいお湯にじっくり浸かる」というのが常識になっているが、これが思わぬ不調の引き金になりかねない。東京疲労・睡眠クリニック院長の梶本修身医師が説明する。
「ぬるいお湯でも長時間入り続けていると、肌を潤し乾燥を防ぐ皮脂が流れ落ちてしまう。もともと皮膚が乾燥している高齢者はその傾向が強く、その後に体をゴシゴシ洗ったりすれば、体中に赤みやかゆみが生じる『老人性乾皮症』を発症しやすい。11月から3月にかけて患者が増える傾向にあり、注意が必要です。湯船に浸かるのは5分~10分程度で十分です」
よく温まろうとして、「湯船に肩まで浸かる」のも要注意だ。
「冬の入浴は心臓への負担となりますが、肩まで浸かればそのリスクは高まる。九州大学の研究などによれば、水圧で横隔膜が押し上げられて心臓への『静脈還流』が増量し、心機能への負担が大きくなるとされています。肩まで浸かる必要はなく、半身浴が望ましいでしょう」(同前)