今年4月、都内で開かれた、若い夫婦の結婚披露宴。ふたりの門出を祝福する場で、とある映像が流れた。その映像には、ほろ酔いの新婦に対し、緊張気味の新郎が「もう一度つきあってください」と告白、頬を赤く染めた新婦が、嬉しそうに「はぁい」と答えるシーンが残されていた。
これはテレビ東京のバラエティー番組『家、ついて行ってイイですか?』で実際に放送されたもの。当時、別れていたふたりは、この番組への出演をきっかけに復縁した。
大学時代から5年間交際していたふたりは、この告白の1か月前に“長すぎた春”を理由に破局を迎えていたが、男性側の都合もあって彼女の家で同棲を続けていた。ある晩、新橋で会社の同僚と飲んで終電を逃した彼女にテレ東の撮影スタッフが「家、ついて行ってイイですか?」と依頼。快諾する彼女とともに撮影スタッフが自宅を訪ねると別れた彼氏が部屋を掃除して待っていた。
復縁にまんざらではなかったふたりだが、お互いに言い出せないでいた。そんな折、突然現れたテレ東スタッフにそそのかされたというか、背中を押されて、前述のように男性が復縁を申し込むと、彼女は「3か月後にプロポーズしてくれるなら」と受け入れたのだ。後に彼は約束通り、彼女にプロポーズして結婚式を迎えたのだった──。
この夫婦に幸せをもたらした『家、ついて行ってイイですか?』は、2014年1月にレギュラー放送が始まった。終電を逃した人に「自宅までのタクシー代を払うから、家のなかを見せてください」とお願いし、許可が出たら実際に家にお邪魔するという内容で人気急上昇、2016年には放送文化の向上に貢献した番組に贈られる「ギャラクシー賞 優秀賞」を受賞している。
次々と登場する個性的な素人に、ネット上では「仕込みでは?」「あんな面白い素人がいるはずない」と“ヤラセ疑惑”が囁かれる。
本誌・女性セブンは真相を確かめるべく、この夫婦を血眼になって捜した。取材を進める中で、新郎の友人に行き着き、彼を通じ、取材依頼。取材に応じた新郎・谷耕平さんは、「ヤラセは一切ないです」と撮影を振り返る。
「あの夜は1時頃に彼女からの電話が鳴り、『テレビが行くから部屋を掃除して』と言われました。ぼくは居候状態だったので、『ハイ、かしこまりました』と(笑い)。関西人なので、テレビに自分をさらすことに抵抗はなかったですね」
撮影の合間のスタッフとの会話が谷さんの人生を大きく変えることとなる。