中国の最高指導者、習近平国家主席は2015年以来の「トイレ革命」の継続を訴える重要指示を出し、「トイレ問題は小さいことではなく、文明的な都市と農村を建設する上で重要な分野だ」などと強調した。これを受けて、中国共産党機関紙「人民日報」や中国人民解放軍機関紙「解放軍報」など中国各紙はいずれも1面トップで、習氏の「トイレ革命」の記事と解説を合わせて掲載した。
「トイレ革命」というと大仰に聞こえるが、要は「トイレをきれいにする」という庶民の生活レベルの話が新聞やテレビやラジオのトップニュースで伝えられるのは極めて珍しい。
この裏には、習氏が抱く恥ずかしさにあるという。習氏は日ごろから「中国の夢」などとのスローガンを掲げ「中国を世界一の大国にする」との豪語している割には、外国人から「中国のトイレは汚い」などと陰口を叩かれていることに恥ずかしさを覚えている。
習氏は2015年4月、国内の観光産業振興に加え、人々の生活の質向上のために「トイレ革命」を提唱。中国政府は2015年から3年間で観光地のトイレを新設ないし改修するプロジェクトを推進しており、今年10月末時点で、既に目標を上回る計約6万8000カ所のトイレを新設・改修したという。
さらに、中国国家観光局は2018年から2020年の今後3年間で、トイレ6万4000カ所を新設または改修する計画を発表している。
中国では農村部を中心に不衛生なトイレが多く、外国人観光客らの評判が悪い。習氏は「トイレの問題は観光業だけではなく、人民の生活環境にも関わる」として重視しており、2012年の習指導部発足以来、農村部の視察では民家に入り、トイレが水洗かどうかをしばしば尋ねてきたという。