投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が12月4日~12月8日のドル・円相場の見通しを解説する。
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今週のドル・円はやや強含みか。引き続き米税制改正法案の審議の行方が焦点となりそうだ。修正法案は近く上院予算委員会を通過し、上院本会議で採決される可能性が高い。税制改革法案が可決・成立すればトランプ政権による経済政策の進展に期待が高まり、株高・ドル高に振れそうだ。
また、連邦準備制度理事会(FRB)が12-13日に開催する連邦公開市場委員会(FOMC)に向け、8日発表の11月米雇用統計が注目される。予想を大幅に下回る内容でなければ12月の追加利上げは確実な状況であり、日米金利差の拡大を意識したドル買いが入りやすい見通し。
ただ、前回10月31日-11月1日開催のFOMCでは、利上げの方向であることはメンバー間で一致したが、インフレの伸び悩みが市場の観測よりも強く意識されていることが明らかになった。このため、賃金上昇率が市場予想を下回った場合、来年の利上げペース鈍化の思惑が広がりやすい。市場関係者の多くは来年3回の利上げを想定しているが、金融当局者などがハト派寄りの見解を表明した場合、ドルの上値はやや重くなりそうだ。
一方、ドイツのメルケル首相は大連立政権の樹立を模索しているもようで、安定政権発足への期待でユーロ買い・米ドル売りが広がった場合、ドル・円相場を圧迫する可能性がある。加えて、北朝鮮の弾道ミサイル発射に伴う地政学リスクも意識され、ドル売り・円買いに振れる場面もありそうだ。
【米・11月ISM非製造業景況指数】(5日発表予定)
5日発表の米11月ISM非製造業景況指数。10月の60.1を下回る59.0と予想されている。7-9月期国内総生産(GDP)改定値は予想を上回る上方修正となっており、ISM非製造業景況指数はそれを裏付ける内容であることが期待される。
【米・11月雇用統計】(8日発表予定)
8日発表の米11月雇用統計は、失業率が4.1%、非農業部門雇用者数は前月比+21.0万人、平均時給は前月比+0.3%と予想されている。いずれも想定を大きく下回らなければ、12月利上げ観測は後退しない見通し。
・12月4日-8日に発表される主要経済指標の見通しについては以下の通り。