ルーキーへの期待の大きさを表すのが背番号だ。今オフ最も注目されていた日本ハム入りが決まった清宮幸太郎は「21」を背負うことになった。日本ハムの「21」は、今季で引退した武田久、古くは西崎幸広など主戦投手がつけた番号で、バッターがつけたことはない。少々乱暴な言い方だが、「球団を背負って立つ強打者」の背番号としては拍子抜けだった。なぜ「21」になったのか。11月24日の入団会見で清宮はこう話した。
「『ポスト誰々』というのは嫌。自分の色を出したいのでありがたい番号。『21といえば清宮』といっていただけるようになりたい」
清宮だけではない。近年、「過去に名選手が背負ったことのない背番号」を選ぶ新人が増えているという。
「かつては名選手の背番号を継承することはステータスだったが、最近の若手にとっては重荷のようだ」
そう語るのは、野球評論家の広澤克実氏だ。現役時代の広澤氏は阪神に移籍した際、「ミスター・タイガース」と呼ばれた掛布雅之氏の「31」を受け継いでいる。
「今の若手は他人と比べられることを極端に嫌う。そのためか、イチローの『51』、松井秀喜の『55』のように、自分の実力で背番号を有名にしていきたい思いが強いようです。僕も阪神に入団したとき、“31は掛布というイメージを払拭してほしい”と球団にいわれましたが、そのせいで甲子園のファンからブーイングを受けて大変だった。気持ちはよくわかります」(同前)
イチロー、松井の出現以降、50番台に新たな「憧れの背番号」が生まれている。「広島・鈴木誠也や今季新人王の中日・京田陽太が『51』、オリックスのT-岡田や西武・秋山翔吾が『55』をつけるなど、野手の番号は“若いからいい”という時代ではなくなった。清宮も『21』を、『51』や『55』のようにしたいと望んでいるのかもしれない」(デイリースポーツ元編集局長の平井隆司氏)