NHKスペシャルで全8回にわたって放送中のシリーズ『人体 神秘の巨大ネットワーク』は、これまであまり知られてこなかった「臓器や体組織の間での情報伝達」のメカニズムを明らかにし、話題を呼んでいる。
これまで医学界では、脳が指令塔となり、体の各部位に様々な指令を出して健康状態をコントロールしていると考えられてきた。ところがNスペでは、各臓器や体組織も独自に「メッセージ物質」を分泌し、ほかの臓器などと直接やり取りをしている──という学説を取り上げ、関心を集めている。
来年1月7日に放送予定のシリーズ第3弾『“骨”が出す! 最高の若返り物質』では、骨が発する“メッセージ物質”が取り上げられる。
骨が分泌する代表的なメッセージ物質(ホルモン)である「オステオカルシン」には、糖尿病を改善する働きがあると指摘されている。
それが知られるきっかけとなったのは、40年以上にわたって骨の研究をしてきたコロンビア大学遺伝発達学のジェラルド・カーセンティ教授が2007年に発表した研究である。『“骨ホルモン”で健康寿命を延ばす! 1日1分「かかと落とし」健康法』(カンゼン刊)の著者で、福岡歯科大学客員教授の平田雅人氏が説明する。
「カーセンティ教授の研究は、それまで“動かずに体を支える硬い無機質なもの”だった骨に対する研究者の考え方を一変させる画期的なものでした。その後、10年間の研究で様々な知見が積み重なり、いまやオステオカルシンは世界の医学界から注目されるホルモンとなりました」