大物俳優やトップ・アイドルの入隊・除隊が相次ぎ、時代劇・現代劇を問わず、数々の大ヒットドラマが生まれた2017年の韓国エンタメ界。年末にはK-POP史上6年ぶりで人気ガールズグループ『TWICE』が紅白出場を決めるなど、さらに盛り上がりを見せている。そこで「久しぶりに見て、どっぷりハマった!」という声も多かった、今見るべきドラマを厳選。話題のドラマについて、韓流事情通による緊急対談をお届けする。
◆落合麻葉さん
TSUTAYAアジアマーケティング担当。仕事柄韓国ドラマを毎日、朝3時まで見る生活。
◆康熙奉さん
韓国の歴史・文化などに関する著書や韓国ドラマに関する著書も多い作家。
──今年は、韓国を揺るがす朴槿恵前大統領事件から始まった一年でしたね。
康:あれは奇想天外な内容の多い韓国ドラマでも思い浮かばないような事件だったので、ドラマスタッフは「われわれはちょっと生ぬるいのではないか」と、大いに触発された事件でもあったようです。その後、気合の入ったドラマが多く制作されたことで、話題となるドラマが多かったのだと思います。
落合:たしかに内容も俳優の演技も見応えのあるものが多かったですね。
──本当にグイグイ引き込まれる作品ぞろいでした!
落合:主役級の俳優が次々に兵役に行く中、入隊しても人気が落ちないのが、イ・ミンホですね。彼の『青い海の伝説』は、日本ではちょうどこれからリリースですが、彼の作品は今、いちばんレンタル率が高いんですよ。
康:主役級の俳優がいなくなって、若手で今年最も注目を集めたのが、パク・ボゴムでしたね。
落合:はい、『雲が描いた月明り』がテレビ東京の朝の放送で始まり、家事を中断して見ている奥様も多いようですが、このドラマで彼は国民的俳優になりました。
康:原作がウェブ小説なので、漫画のような世界を描いていますよね。でも、日本のNHKにあたる公共放送のKBSが、時代劇でロマンチックファンタジーを作るなんて…と思っていたら、後半に向けて史実をうまく捉えながら、王と官僚の対立を重厚に描いていて、新しい時代劇のスタイルを見せてくれたと思います。そんな中でパク・ボゴムは、時代劇の難しいせりふ回しを見事に克服し、世子としての威厳を立派に見せました。