いわゆる“働き方改革”が政府から推奨されているが、変えるのは働き方だけでなく学び方もだと経営コンサルタントの大前研一氏はいう。しかし、現実に働く人が新たに学ぶのは難しいと思い込まれている。この、新しいことにチャレンジする前に自分の行動を抑制してしまう「メンタルブロック」の弊害と、それを取り除くことによって広がる可能性について大前氏が解説する。
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三越伊勢丹ホールディングスが退職金を最大5000万円上乗せする早期退職制度の見直しを発表したが、この制度だと優秀な人ほど先に退職してしまうだろう、と前号で指摘した。他社でも通用するスキルを持った人材であれば、再就職が容易だからである。
ただし、50歳前なら、本人の努力次第で、まだまだ新しいスキルを身につけることができる。実際、私が学長を務めている「BBT(ビジネス・ブレークスルー)大学・大学院」でも、30代・40代の社会人が自己投資して、懸命に学んでいる。
たとえばBBT大学院の場合、MBA(経営学修士)を取得するために入学してくる学生の平均年齢は、かつての34歳から今は40歳になっている。いくつかの専門コースに分かれているが、起業家向けのコースでは約1000人に及ぶ経営者の講義コンテンツ(動画)の中から、自分が学びたいと思う100人分をカフェテリア方式で本人に選ばせる。そして、それを3か月ですべて視聴させる。
講師の顔ぶれは、海外ファッション通販サイト「バイマ」創業者の須田将啓さん、ビジネスSNSを運営する「ウォンテッドリー」創業者の仲暁子さん、公認民泊予約サイトを運営する「百戦錬磨」創業者の上山康博さん、スペースシェアサービス「軒先」創業者の西浦明子さん、ヘアメイク専門店「アトリエはるか」創業者の西原良子さん、スキャン代行サービス「スキャンマン」創業者の杉本勝男さんといった、学生と同年代の起業家たちである。