師走の居酒屋、忘年会で盛り上がる酒飲みの間で、“大人の早慶戦”が繰り広げられているという。自営業の男性(70)が言う。
「日本酒を蔵元の社長の出身大学で分けて飲み比べをするんです。大ブームになった『獺祭』は早稲田、宮城の名酒『浦霞』が慶應なので、早慶戦が一番盛り上がります。母校に肩入れしたり、“慶應のほうが品があるね”といった具合に味と校風を重ね合わせたりして話は尽きないですよ」
野球、ラグビーなどのスポーツだけでなく、早稲田と慶應は日本酒でも競い合っており、「美酒早慶戦」なるイベントも2011年から毎年開催されている。実行委員の杉原英二氏が言う。
「東日本大震災を機に、東北の子供たちへの支援を目的とした日本酒の早慶戦を始めました。審査員が飲み比べ、好きなお酒に投票。合計得点の多い大学が、“団体戦勝利”となります。早慶出身の蔵元の社長は意外に多く、今年9月は過去最高の72蔵(早稲田が31蔵、慶応が41蔵)が参加しました。会場で同時に行なうチャリティーの収益金は寄付しています」
会場は東京・銀座のホテル。審査員は170人ほどを募り、“開幕”の前には慶應の「若き血」や早稲田の「紺碧の空」といった応援歌を歌う徹底っぷりだ。
「口に含んで吐き出すのが一般的な利き酒のやり方ですが、『大吟醸のいい酒にそんなことできるか!』となり、全員がしっかり飲んでしまいます(笑い)。勝負は常に拮抗してます。第7回の今年は慶應が勝って、通算成績は慶應の4勝3敗です」(同前)