セクハラ、パワハラなど、さまざまな「ハラスメント(嫌がらせ)」が社会問題となって久しいが、最近になってとりわけ取り沙汰されるようになってきたのが“消費者”を意味する「カスタマー」のハラスメント、「カスハラ」だ。明確な定義は定まっていないが、概ね「消費者による自己中心的で理不尽な要求」と捉えられている。
都内某所の携帯ショップでは、60歳半ばと思しき男性が若い女性店員に「なんでこんなに待たせるんだ! 責任者を呼べ!」と詰め寄っていた。
「クレーム」や「権威的態度」などが代表的なカスハラとされるが、これらは消費者が“正当な主張”と考えているケースもあり、その原因が店員の落ち度だった可能性もある。そのギャップは、客と店員の年齢が離れるほど深くなるようだ。
特に歳の差ギャップによるカスハラ問題の“舞台”になるのが、先に挙げた携帯ショップだ。デジタルに疎い世代と、子供の頃から慣れ親しんだ世代では会話のスタートラインが違うためやり取りがこじれやすい。元会社役員の72歳・男性はこんな思いをした。
「スマホの操作がわからなかったり、機械の調子が悪いと思うときはお店に相談に行く。でも、20代の店員はいつも面倒臭そうに、『アドレス帳のバックアップはしました?』『アップロードはサイトのURLをクリックすると……』とか、横文字をたくさん使いながら、早口でまくし立てる。
『もう一度ゆっくり説明して』と話を遮ると露骨に面倒臭そうな顔をされる。こっちも次第にイライラしてくるから言葉も荒くなる。客にあの対応はない」
元公務員の70歳男性も似たような思いを味わった。