カナダの高血圧治療専門家が考案した「ハンドグリップ法」が、新たな血圧改善の補完療法として世界的に注目されている。米・心臓学会も認めた新メソッドとは──。
日本ではまだ広く知られていない血圧改善法について、日野原記念クリニック所長で、高血圧治療に詳しい久代登志男医師はこう解説する。
「1日に約10分、週3日以上タオルを握る。それによって血圧を下げる効果があります。体力のない高齢者でも気軽に実践できます」(以下「」内は久代医師)
“ハンドグリップ法”と呼ばれるこの療法は、カナダ・ゲルフ大学准教授のフィリップ・ミラー博士が考案した血圧改善法。米国の心臓学会と心臓協会も“血圧改善の効果がある”とお墨付きを与えている。
米国やカナダなどでは、デジタル握力計を最大握力の3割の力で2分間握り、1分休むという動作を左右2回ずつ行なうというやり方が主流。所要時間は10分ほどである。
これまで高血圧を改善するには、毎日30分から60分、有酸素運動を続けるといった運動療法や肥満・睡眠不足の解消、減塩などの生活改善が主流だったが、それらとは大きく異なるアプローチだ。なぜこの運動に血圧を下げる効果があるのか。
「この運動を行なうことにより、前腕の血流が減って血管から一酸化窒素が分泌されます。この一酸化窒素に、血管を拡張する機能があると考えられています」
血管が広がると血液は流れやすくなり、結果として血圧が下がるというわけだ。ただし、あまり力を入れすぎるとめまいを起こす危険があるので、3割程度の力がよいとされている。