世間を騒がせた凶悪犯罪は時が経てば人々から忘れられるが、被害者やその遺族の怒り、苦しみは決して消えることはない。懸命の捜査にもかかわらず、いまだ犯人が野に放たれたまま逮捕に至らぬ「未解決事件」のその後を追った。
※記事中の「懸賞金」は、容疑者検挙につながる有力情報に対し、警察庁が上限300万円で設定する公的懸賞金(捜査特別報奨金、期間1年)に、遺族や民間団体による懸賞金を加えたもの。検挙に寄与した情報提供者が複数ある場合には、貢献度に応じて上限内で分割して支払われる。
◆熊取町・吉川友梨ちゃん誘拐事件
【2003年5月20日 大阪府警】懸賞金300万円
小学4年の吉川友梨ちゃん(当時9歳)が下校途中、行方不明に。自宅から約400メートル離れた地点で、友梨ちゃんは忽然と姿を消した。最後に目撃された付近には事件後、地元の協力により看板も立てられ、今年7月に10回目の報奨金延長がなされ、父親らがビラを配った。
府警は2017年、不明となった当日午後3時頃、現場近くに停車していた白色の不審車を「クラウン」130系(1987~1990年)か120系(1983~1987年)と公表。同府南部の該当約2300台のうち現在約1400台の所有者に当日の行動を聞くなど、捜査を続ける。
◆群馬・横山ゆかりちゃん誘拐事件
【1996年7月7日 群馬県警】懸賞金600万円
七夕の午後2時前、群馬県太田市で、両親と訪れていたパチンコ店で横山ゆかりちゃん(当時4歳)が行方不明になった。県警は未成年者略取・誘拐容疑事件とし、店の防犯カメラに映っていた、ゆかりちゃんに話しかけるサングラスをかけた身長約158センチの男を重要参考人として追っている。
パチンコ店内の長椅子に座っていたゆかりちゃんは、不審な男に話しかけられた後、店を出て姿を消した。今年で21年目を迎えたが、父親・保雄さんは情報を求めてチラシを配る。県警は、防犯ビデオの映像を使った動画『白昼の死角』をYouTube公式チャンネルで公開。現在、ゆかりちゃんは26歳になっている。