TVディレクターだった高橋がなり氏が1995年に創業したソフト・オン・デマンド(SOD)は誰もが認めるトップメーカーとしてAV業界に君臨する。社員数は100人を超え、売上高は毎年100億円以上。アダルト分野のみでのし上がった企業としては異例の存在だ。近年ではAVのみならず、性の総合メーカーとして多角的に事業を展開している。
その知名度とは対照的に、会社自体はほとんどメディアに登場しないが、今回本誌・週刊ポストは東京都中野区にあるSOD本社ビルを取材する機会を得た。正面玄関を入ると、SODを宣伝するグッズで埋め尽くされたロビーに圧倒される。取材班を案内してくれたのは、宣伝部の入社4年目、望月りささん。「このビルはAVの撮影で何度も使われているんですよ」
1階にある、かつて撮影で使用された教室セットの打ち合わせスペースで、企業概要の説明を受ける。企画や技術が流出しないように、厳格な撮影禁止事項などを伝えられた。
3階に移動し制作部へ。入り口には多くのSOD作品が陳列され、フロア内には高橋氏が残した「負け犬からの脱却十か条」「クリエイター十か条」といった訓示が大きく壁に貼られている。「創業者の理念は社員にDNAとして受け継がれています」(望月さん)。トップを走り続ける会社の一端が垣間見えた。
◆取材・文/青野有城
※週刊ポスト2017年12月22日号