元プロ野球選手の野村克也さん(82才)の妻・野村沙知代さんが12月8日、虚血性心不全で亡くなった。85才だった。
メディアのなかでも大活躍したサッチーだが、数々の騒動を起こしてきた。いわゆるミッチー・サッチー騒動のほか、脱税で逮捕されたこともある。トラブルメーカーという見方をする人もいたが、克也さんはつねにサッチーをかばい続けた。沙知代さんをよく知る知人はこう話す。
「世間のイメージとは真逆で、彼女ほど家庭的な女性はいません。テレビの仕事でどんなに忙しくても、夫と子供に食べさせる食事は絶対に手料理。料理もとても上手で、買い物は自ら近所のスーパーへ。冷蔵庫に入っているもので何でも作っていました。自宅を訪れた選手や記者たちにも、“食べていきなさいよ”とササッとボリューム満点のものを作って振る舞っていました」
野村家では主人がいつも1番で、私は2番──意外かもしれないが、それがサッチーの口癖だった。克也さんは家の鍵を持ち歩かない。だから、家の鍵はいつも開けっ放しだ。それができるのも、克也さんが帰宅するまでいつも沙知代さんが起きて待っていたからだった。
息子・克則が生まれた頃、克也さんは選手としては晩年にさしかかり、生活がいちばん苦しい時期だった。それでも、夫が夜まで練習に明け暮れていることは知っている。沙知代さんは、早朝に起きると午前中はずっと乳母車を押して近所を歩き続けた。当時は狭いマンションに暮らしていたので、子供の泣き声で夫を起こしてしまわないようにという配慮だった。
「あなたは野球だけやってればいいのよ。あとは私に任せなさい」
そう沙知代さんは克也さんに言い続けた。世間知らずの夫のために、お金の管理から冠婚葬祭、人づきあいまで、沙知代さんがすべて受け持った。お世話になった後援者やパーティーなどで知り合った人に手紙を書くのも沙知代さんの役目。自宅にかかってきた電話を克也さんに取らせたことは一度もないという。