臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になった著名人をピックアップ。記者会見などでの表情や仕草から、その人物の深層心理を推察する「今週の顔」。今回は、2017年の謝罪会見をまとめて振り返る。
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政治家の失言に辞任、企業の不祥事、芸能人の不倫…と今年も様々な謝罪会見があった。すっと潮が引いた会見もあれば、印象が悪く批判が集中した会見もあった。そこで今年行われた謝罪会見を振り返りながら、その違いがどこにあったのか考えてみたい。
謝罪会見といえば、やはり頭の下げ方は重要だ。大企業は謝罪会見用のメディアトレーニングを行っている。読み上げる原稿や受け答えだけでなく、話し方、立ち方、お辞儀の仕方などをトレーニングするはずだ。だから大企業の謝罪会見では、居並ぶ経営陣が一斉に揃って同じ角度、同じ秒数で頭を下げる。ここで肝心なのは、謝罪する意思が本当にあるかより、“詫びる気持ちがあるように見せる”こと。お辞儀の仕方もトレーニング次第なのだから、謝罪会見も一種のパフォーマンスみたいなものである。
それだけ日本人にとって、きちんと頭を下げ、謝罪の意思を見せるという姿勢は重要なのだ。ところが、無資格検査が発覚した日産の西川廣人社長は陳謝したものの頭を下げなかったし、不倫疑惑で民進党から離党した山尾志桜里衆院議員も会見冒頭、謝罪の言葉を述べただけで頭を下げはしなかった。こうなると、謝罪の意思なしと受け取られやすい。何のための会見かと批判が集中することになる。
山尾議員は、不倫疑惑に何ら答えることなく会見を終了。情報が足りないと、人はかえってあれこれ想像し、憶測でその隙間を埋めようとする。山尾議員のように、他人を追及する時は強気で攻めるのに、自分事にはシャットアウトでは、他人に辛く、自分に甘いという印象が強くなり、ますます憶測を広げる要因になる。
だからといって、長く丁寧に頭を下げればいいというわけではない。これはこれで、やり過ぎると形だけの謝罪に見えてしまうし、丁寧に頭を下げておきながら逆ギレするというパターンなど、特に反感を買う。
不正会計問題を起し、決算の場で謝罪した東芝の綱川智社長ら経営陣は、きっちり揃って頭を下げたものの、自分たちも被害者だと言わんばかりの口ぶりで淡々と説明するのみ。そこからは謝意が感じられなかった。「このハゲー!」で世間を騒がせた豊田真由子前衆院議員も、しおらしく深々と頭を下げたたものの、最後の質問に逆ギレし、表情や声のトーン、口調までもが変わって我が出てしまった。