「今度の日曜日は絶対に遊園地に連れて行ってね、約束だよ!」とせがむ子供と「ウン、指切りげんまんだ」と笑う父。しかし土曜日の夜に上司から仕事を頼まれてしまい、子供を遊園地に連れて行くために奮闘する。これは、漫画『三丁目の夕日』の一コマだ。ディズニーランドもUSJも、もちろんスマホやゲームもなかったあの頃、遊園地は「日曜日の王様」だった。1980年くらいまでは、“我が心の遊園地”と呼ぶべき存在が人気を博していたのだ。
しかし、1990年代に入ると街の遊園地は徐々に姿を消していく。日本全国の公園・テーマパーク数は、1997年の192か所から、2016年の135か所と、20年で約3分の2にまで激減。
一方で来園者数日本一を誇る『東京ディズニーリゾート』は2016年、入園料を500円値上げしたにもかかわらず、3000万人以上が訪れ、さらに11月には3000億円を投入して2025年までに大幅に規模を拡張すると発表。勢いはとどまるところを知らない。
東京ディズニーリゾートに次ぐ人気を誇る『ユニバーサル・スタジオ・ジャパン』の2016年度来園者数は1460万人。前年度と比べると5%増、3年連続で過去最高を叩き出している。
2大テーマパーク隆盛の理由を「新鮮さと物語性にある」と指摘するのは、観光レジャーを専門とする大正大学教授の白土健氏だ。
「ディズニーランドは、乗り物の種類が豊富なうえ、いつも新しいイベントが用意されています。乗り物がメインだったこれまでの遊園地に対し、パレードやキャラクターを持ってきたのです。USJも、『ハリー・ポッター』や『ミニオン』など人気キャラクターを使って、オリジナルの世界を作っているのに加え、アトラクションでは派手に水をかけるなど、関西流のノリのよさがある。そこに行くだけで、自分も物語の中の一員になって遊ぶことができる。そんな楽しさが、大きな強みとなっています」
さらに、フリーパス制で滞在時間を長くし、「ご飯は園内で食べよう」「おみやげも買おう」と、消費を促す工夫も多い。東京都在住の高校生の佐藤瞳さん(仮名・18才)が言う。