諏訪中央病院名誉院長の鎌田實医師は、ふだんはあまり怒らないで過ごしているという。ところが2017年は、怒りがこみあげる場面が数多くあったという。「怒」をテーマに、鎌田医師が一年を振り返った。
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いよいよ年の瀬だ。2017年を振り返ってみると、普段は怒らないカマタが、よく怒った一年だった。師走の風物詩になった「今年の漢字」一字を、ぼくが挙げるなら間違いなく「怒」だ。
今年の年頭、ぼくはイラクの難民キャンプを訪ねた。小児白血病やがんなど重い病気を抱える子どもたちが、過激派組織ISから逃げながら、十分な治療が受けられないまま亡くなっていく姿を目の当たりにした。
ぼくが代表をしている日本イラク医療支援ネットワーク(JIM-NET)はイラクの子どもたちに医療支援を続けてきたが、ISがいなければ助かった命も多かったはず。そう思うと怒りがこみあげてくる。
米国では、トランプ大統領が就任し、世界の分断を広げるような言動を繰り返している。安倍さんは、就任前、いちはやくトランプ大統領の私邸に飛んでいった。
先月、今度はトランプ大統領が来日したが、たった3日間しかいない日本で、半日を割いたのはゴルフだった。北朝鮮という国難を解決する気があるようには思えない。いや、むしろ、安倍さんにとって、選挙をしたり、防衛費を拡大したりするために、国難を都合よく利用しているようにさえ感じられる。