例年、大相撲九州場所では一門ごとに親方衆が顔を揃える「一門会」が開かれる。八角理事長(元横綱・北勝海)らが所属する高砂一門は、会場の手配担当だった振分親方(元小結・高見盛)が店の予約を忘れて場所中の11月20日に開催できなくなったという椿事に見舞われたが、どこの一門会も年明けの初場所後に迫る協会の「理事選」のために候補を絞る作業をすすめるはずだった。ところが、今回は場所中に元横綱・日馬富士の暴行事件が発覚し、どの一門も候補を絞れない異常事態に陥っている。
「さらに、身勝手な振る舞いばかり目立つ横綱・白鵬を頂点とするモンゴル勢のグループが、とくに伊勢ヶ濱一門内で存在感を際立たせている。日馬富士の師匠である伊勢ヶ濱親方(元横綱・旭富士)は、前回理事選では貴乃花グループからの票で理事になったものの、当選すると、“自分は一門の代表だ”と執行部側に接近。貴乃花親方とは“水と油”になった」(担当記者)
ただ、その伊勢ヶ濱一門でさえ「貴乃花親方に近いとされる浅香山親方(元大関・魁皇)や二所ノ関一門から移籍した朝日山親方(元関脇・琴錦)、前回落選した高島親方(元関脇・高望山)がいて、伊勢ヶ濱親方に一本化は難しい」(別の協会関係者)という。
◆最大派閥が分裂
理事4人を輩出する出羽海一門も、一門会で理事候補を決められなかった。
「一門の約30票だけでは、4理事を維持できない。山響親方(元前頭・巌雄)や玉ノ井親方(元大関・栃東)ら貴乃花親方に近い親方衆は調整に応じるはずがない。
そもそも理事長の足元である高砂一門の八角部屋でさえ、部屋付きの陣幕親方(元前頭・富士乃真)の長女が、貴乃花親方の長男・優一君と結婚していたことが明らかになるなど、どう票が動くか分からない。まさかの“理事長落選”だってある」(後援会関係者)