10月に行なわれた総選挙後に召集された特別国会(12月9日閉会)では、過去の政府答弁と食い違う森友学園問題の新事実が次々に明らかになった。
とくに国有地の大幅値引き問題で、会計検査院が「値引きの根拠が不十分」という報告書を公表すると、それまで「見積もりは適切」と答弁していた安倍晋三首相は窮地に立たされた。「丁寧に説明する」と約束した首相はどう語ったか。
「財務省や国土交通省から適切と報告を受けていた。私が調べて、私が『適切』と申し上げたことはない」
“オレが調べたわけではないから責任はない”というのだ。国会は「国権の最高機関」だ。総理の国会答弁は官僚が作るが、責任は総理自身にしか負うことはできない。それを役人に転嫁すれば国家の秩序は崩れていく。
その財務省にも火が燃え広がった。
「財務省のシステムは即座にデータが抹消される仕様になっています」
そんな“迷答弁”で森友側との交渉記録廃棄を正当化し、国税庁長官に出世した佐川宣寿・前理財局長も新事実に足を掬われた。佐川氏は証拠が残っていないことをいいことに、通常国会では値下げ交渉について「価格を提示したこともないし、先方からいくらで買いたいと希望があったこともない」と全否定していた。
ところが、近畿財務局が森友側に「1億3000万円」などと伝えた音声データの存在が明るみになり、特別国会で虚偽答弁だと追及された。