かつて体罰が容認されていた時代もあったが、今ではそれは許されない。もちろん、体罰が子供の心に深い傷を与える可能性がある以上、それを軽々しく肯定することはできない。 しかしそれでも、「体罰=絶対悪」ではないはずだと俳優の梅沢富美男は指摘する。
「非常に難しい問題だけど、すべてを体罰として禁止してしまえば、マニュアル通りにしか動けない人間ばかりになります。“殴られるかも”という思いがあるから子供たちは頭を使って考えるようになり、“生きる知恵”が育まれるわけだから。体罰を辞さなかったうちの親父は『学校では1+1=2になるけど、世の中に出たら1+1が3や4になる。だから社会勉強をしろ』と教えてくれました。学校で教わった四角四面のきれい事は社会に出たら通用しない場合もあるんです」
今の世の中を見回すと、「マニュアル人間」ばかりだと梅沢は嘆く。
「ぼくが差し入れを買いにマネジャーと2人でハンバーガー屋に行き、ハンバーガー40個とコーラ40杯注文したら、店員から『店内でお召し上がりですか?』と聞かれて、思わず『バカヤロー! そんなはずないだろ』って怒鳴ったよ。
1人でコンビニに行って酒を買ったら、店員から『年齢確認をお願いします』とレジのスクリーンを指差されたので、『一体いくつに見えるんだ。コノヤロー!』と腹が立ったこともある。臨機応変に発想することができない連中ばかりで嫌になるよ」
体罰を悪とする風向きが強まるとともに、ドラマ『金八先生』からも子供に手を上げるシーンが消えていった。武田鉄矢は、今の子供たちに拳をもって指導することは難しいと指摘する。