中国ではクリスマスでの行事や活動は宗教活動とみなされて、これまでも取り締まりの対象になっていたが、2017年は特に厳しかった。各地の中国共産党委員会が厳重禁止の通達を出したり、その現場に警官隊が踏み込んだほか、クリスマスツリーにつける電飾製品の製造や販売禁止などをしていたのだ。
この背景には、2017年10月の第19回党大会後、中国国務院(政府)が「中華伝統優秀文化の伝承・発展工程に関する意見」と題する通達を各地方政府に通知したことがあるようだ。この通達は、むやみに欧米の文化を崇拝したり、「西洋かぶれ」になってはいけないなどとし、事実上、キリスト教の影響排除を命じたのである。
米政府系報道機関「ラジオ・フリー・アジア(RFA)」によると、湖南省衡陽市党委は党員に対して、クリスマスイブのパーティやクリスマスミサなどキリスト教の宗教行事への参加を禁止する通達を出した。通達では「キリスト教は精神を過らせるアヘン」と断定しており、党員の家族や親戚らも禁止の対象になっている。
このほか、政府機関や小中高校や大学などの教育機関、一般のホテルでの慶祝行事も基本的に禁止させるよう通知している。
さらに、広東省や甘粛省では党員への通達のほか、クリスマスツリーや電飾製品などクリスマス関連の製品を製造する工場に対して、商店への製品運搬中止のほか、商店自体も関連商品の販売禁止を命じられたという。RFAの取材を受けたある工場長は「クリスマス関連商品の製造中止を命じられたのは初めて」と語っている。
また、遼寧省瀋陽市の瀋陽薬科大学では大学内の中国共産主義青年団支部委員会が同大生らに「クリスマス関連の行事には参加しないよう」呼びかけた。同市の西北大学でも同様の通知が出されている。これについて、関係者はRFAに対して「多くの人々が参加すれば、大学内が混乱し、事故につながる可能性がある」などと答えている。