フィギュアスケートの平昌五輪代表が決定した。女子2枠という熾烈な代表争いを勝ち抜いたのは宮原知子(19)と坂本花織(17)。ともに五輪初出場となる2人の前に立ちはだかる最大のライバルは、個人参加で出場した場合、ロシア勢になるだろう。国による組織的ドーピングによって、ロシア選手団としての参加は認められないが、個人資格での参加は容認されている。
ロシア女子の五輪出場枠は3枠。代表発表は、2018年1月に行われるヨーロッパ選手権の後になる見込みだが、全日本フィギュアスケート選手権と同日に開催されたロシア選手権で優勝したアリーナ・ザギトワ(15)が、1枠をほぼ手中に収めた。ザギトワは12月に名古屋で行われたグランプリファイナルでも優勝。ジュニア時代は本田真凛(16)と鎬を削っていた可憐な少女が、シニアデビューの今年、一気に頂点までのぼりつめた。
もう一人のロシア代表有力候補は、世界選手権2連覇中のエフゲニア・メドベージェワ(18)。ケガのため、グランプリファイナルおよびロシア選手権を欠場したものの、過去の実績から選出は濃厚と見られている。
五輪金メダルの有力候補といわれるこの2人、実は同じコーチに師事する同門である。ロシア・フィギュアスケート界の「鉄の女」と称されるエテリ・トゥトベリーゼ(43)だ。ロシア・スポーツ省の「コーチ・オブ・ザ・イヤー」を受賞したエテリコーチは、いま最も注目を集めるコーチの一人だろう。
ちなみにロシア選手権で3位に入ったアリョーナ・コストルナヤ(14)も、エテリが指導する選手。年齢制限で平昌五輪には出られないが、次世代も着実に育っている。
「エテリ組」の強さはどこにあるのか。第一に、「鉄の女」と呼ばれるほどの厳しさだろう。過去のインタビューで「コーチは(選手を)いつも賞賛すべきではない」「練習では150%、本番では110%」と発言している。限界を超えた練習によって、選手たちは技術のみならず精神的に鍛えられていく。