人間いくつになっても学びは重要だ。年の瀬の名物番組も実は示唆に富んでいる。コラムニストの石原壮一郎氏が提言する。
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なんだかんだ言って、大みそかといえば「紅白歌合戦」です。たしかに、子どもの頃ほどはワクワクしないし、知らない歌手や知らない歌のほうが多いぐらいですけど、そのあたりも含めて独特の渋みや悲哀を味わいましょう。
しかも、何を隠そう紅白は、私たちおっさんに「大人を磨く教訓」を授けてくれます。大人的紅白ウォッチャー(自称&期間限定)の私が、僭越ながら5つの教訓をご紹介。今年の紅白をさらに深く堪能し、2017年を華麗に締めくくる一助になれたら幸いです。
●紅白歌合戦に学ぶ5つの教訓
その1「マンネリを恐れるなかれ。やり続けることに意義がある」
その2「茶番を遠慮するなかれ。堂々とやり抜けば大丈夫である」
その3「どっちでもよくても、いちおう勝ち負けにはこだわろう」
その4「イメージに惑わされて、勝手に足かせを作ることなかれ」
その5「おっさんにはおっさんなりの居場所や役割がきっとある」
●その1「マンネリを恐れるなかれ。やり続けることに意義がある」
「紅白歌合戦」は、今年で第68回。私たちおっさんが子どもだった30回目ぐらいから、すでに「マンネリ」と言われまくっていました。それでもやり続けて、いつしかマンネリであることが一種の貫禄となり、今やあらためて「マンネリ」を非難する人はいません。おっさんのダジャレも、おっさんの飲み屋での仕事の愚痴も、かくありたいものです。
●その2「茶番を遠慮するなかれ。堂々とやり抜けば大丈夫である」
紅白は茶番に茶番を重ねて成り立っています。大物歌手の出場をもったいぶって「やっと決まった体」で発表することしかり、歌のあいだのちょっとトホホなコントしかり。会社生活でも茶番はとても大切です。「いちおう反省している体」や「いちおうヤル気がある体」を見せたり、露骨なお世辞を繰り出したりする場合は、堂々とやり抜きましょう。
●その3「どっちでもよくても、いちおう勝ち負けにはこだわろう」
紅白で紅組と白組のどっちが勝つかは、世の中でもっとも「どっちでもいいこと」のひとつ。しかし、出場者全員が勝ち負けに強くこだわっているフリをすることで、大事なことっぽく見えています。おっさんもウンチク合戦とか同期との出世争いとか、よく考えたらどっちでもいい勝ち負けにこだわることで、張り合いらしきものを見つけましょう。