香港の大学の卒業式で、中国の国歌「義勇軍行進曲」斉唱の際、学生2人が立ち上がって、両手で「×」の形を作り、「演奏を止めろ」などと大きな声を出したため、演奏がストップ。校長が2人の学生を式典から締め出したところ、他の学生10人も会場から自主的に退場する騒動が起こっていたことが分かった。
香港では中国返還後、中国共産党政権の強圧的な統治に抗議して、中国国歌の演奏をボイコットする動きが出ており、今回も中国統治への反発が表面化したといえそうだ。
これに対して、中国では2017年10月1日、国歌を侮辱するなどした場合、15日以内の拘留のほか、悪質な場合には刑事責任も追及することが定められた「中国国歌法」が施行。これを香港にも適用すると伝えられている。
このような折りも折り、卒業式での中国国歌ボイコット事件が起きただけに、香港市民の反応も敏感に。この事件を報じた香港の英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」(電子版)の書き込み欄には、記事掲載からわずか2日間で250件もの意見が寄せられ、賛否相半ばしている。
学生に同情的な意見は「香港は大陸とは違い、共産党一党独裁体制ではない。大陸では共産党に反対することは犯罪だが、香港では政権批判を口にし行動する自由は守られるべきだ」や、「教育の場では、先生は学生の意見を尊重し、その是非を論じて納得させるべき。いきなり退場とはやり過ぎだ」と校長の立場に批判的なものがみられる。