もうすぐスタートする冬ドラマは、注目作が多く揃い激戦必至の様相だ。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が分析した。
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いよいよ新しい年の幕開け。2018年はいったいどんなドラマに出会えるのか、スタート前からワクワク。個性的なあの役者、芸達者なこの人、注目度ナンバーワンの彼・彼女たちが、どのような変貌を見せてくれるのか。期待が膨らむ新ドラマを5本、注目点と合わせてビックアップしてみました。
●『anone』(日テレ系水曜午後10時、1月10日スタート)注目点「広瀬すずの変身ぶり&坂元裕二脚本」
えっ、誰? 一瞬わからなかった。バッサリと髪の毛を切り、下から見上げる視線は、突き刺さるような鋭さ。広瀬すずさんがガラリとその雰囲気を変えて取り組む新ドラマ。意気込みがひしひしと伝わってきます。
『anone』の物語は……家を失った少女と老女とが出会い、家族を装って共同生活を始める。坂元脚本らしく“生きることの意味”がテーマとか。昨年『カルテット』の脚本を手がけて大評判をとった坂元氏の新作だけに興味津々です。
広瀬さんの鮮やかな変身ぶりと共に、キラ星のようなキャスティングにもそそられます。田中裕子、瑛太、小林聡美、阿部サダヲ……ドラマ好きにとってはよだれの出そうな配置。
●『アンナチュラル』(TBS系金曜夜10時 、1月12日スタート)注目点「雑音の中で演技する?新機軸」
主演は飛ぶ鳥を落とす勢いの女優、石原さとみさん。前主役ドラマ『地味にスゴイ!』では、全くの異分野だった「ファッション」と「校閲」とを見事に融合させ、「河野悦子」像を創り上げて大注目を集めました。
新ドラマ『アンナチュラル』はどうでしょう? 一話完結の法医学ミステリーの見所は、「雑音の中」で繰り広げられる演出。何とびっくり、「エキストラが本番中に話してもよい」という風変わりな撮影現場らしい。「雨の音やエキストラさんの叫び声、足音、すべてそのまま使用しています」と石原さんも驚きつつ収録しているとか。人物が同時に話す「ダブルトーク」もありだそうで、リアルで新鮮な「フェイクドキュメンタリー」ドラマが生まれそうな気配。なるほど、その新機軸は塚原あゆ子監督ならでは。かつて『リバース』『重版出来!』等で素晴らしい演出力を見せた監督だけに、挑戦的な演出にも大注目。
●『ホリデイラブ』(テレビ朝日系金曜午後11時、1月26日スタート)注目点「第三の里依紗が見られるか」
『ホリデイラブ』では、浮気が発覚し夫婦関係を修復しようと苦悩する妻を、仲里依紗さんが演じます。ただの不倫ドロドロドラマはもう飽きたかな~というところですが、仲さんがやるなら見たい。
彼女の持つ強烈な破壊力については『逃げる女』(2016年NHK)で目撃し、ぞっこんに。昨年の武井版『黒革の手帖』では、派遣社員から夜のホステスへと転身していく極悪女ぶりで大きな話題となりました。
思うに、仲さんの持つ破壊力は「攻撃」に留まらない。昨年のドラマ『あなたのことはそれほど』では、不倫した夫をじくじくと責める暗い妻を演じそれも怖かったけれど、今回はそれでもない、「第三の里依紗」を見たい。
例えば微妙な感情の揺れを、セリフではなく目だけで演技する、といったような。役者としての新境地を期待しています!