あと1年余りで平成の御代が終わり、新しい時代が始まる。現憲法下で初めて即位して以来30年、常に国民のために祈り、果敢に行動されてきた陛下のおことばを、改めて心に刻み付けておきたい。
〈私はこれまで天皇の務めとして、何よりもまず国民の安寧と幸せを祈ることを大切に考えて来ましたが、同時に事にあたっては、時として人々の傍らに立ち、その声に耳を傾け、思いに寄り添うことも大切なことと考えて来ました。〉(2016年8月8日、「象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば」)
〈この大災害を生き抜き、被災者としての自らを励ましつつ、これからの日々を生きようとしている人々の雄々しさに深く胸を打たれています。〉(2011年3月16日、東日本大震災後のビデオメッセージ)
〈天皇という立場にあることは、孤独とも思えるものですが、私は結婚により、私が大切にしたいと思うものを共に大切に思ってくれる伴侶を得ました。〉(2013年12月18日、80歳の誕生日を前に)
〈この度、海外の地において、改めて、先の大戦によって命を失ったすべての人々を追悼し、遺族の歩んできた苦難の道をしのび、世界の平和を祈りたいと思います。〉(2005年6月27日、サイパン島ご訪問ご出発にあたり)
〈私は、この運命を受け入れ、象徴としての望ましい在り方を常に求めていくよう努めています。したがって、皇位以外の人生や皇位にあっては享受できない自由は望んでいません。〉(1994年6月4日、ご訪米前の招待記者の質問への文書回答)
〈言ったことは必ず実行する。実行しないことを言うのは嫌いです。〉(1964年12月22日、31歳の誕生日を前に)
◆参考/高森明勅監修『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社刊)、宮内庁編『道 天皇陛下 御即位十年記念記録集』(NHK出版刊)ほか
※SAPIO2018年1・2月号