ライフ

【嵐山光三郎氏選】2018年に読みたい「昭和の残像」

本橋信宏・著『新橋アンダーグラウンド』

 年末年始はじっくりと本を読む良いチャンス。『週刊ポスト』の書評委員が選ぶ書は何か? 作家の嵐山光三郎氏は、「昭和の残像」を学ぶ本として『新橋アンダーグラウンド』(本橋信宏・著/駒草出版/1500円+税)を推す。嵐山氏が同書について解説する。

 * * *
 JR新橋駅の汐留口にはゆりかもめ新橋駅や汐留のインテリジェントビルが建ち並ぶが、日比谷口や烏森口にはSL広場があり、なつかしい昭和の赤提灯街が残っている。町の匂いは愛欲と享楽の溜息だから、開発業者がいじっても、そう簡単に消えるものではない。

 筆者の本橋氏は「アサヒ芸能」や「週刊大衆」などの週刊誌で、人外魔境のような町の裏側を克明に取材してきた。新橋駅ガード下パブに集う熟女ホステス。オヤジの聖地、ニュー新橋ビル。JRAの暗号。中国人娘の昏睡強盗。暴力団が群がるビル。増殖するレンタルルームの怪。昔の新橋を知る八十六歳の靴磨きおばちゃん。ゲイタウン。SM仕様のレンタルルーム。出てくるのは新橋ならではの珍談奇談で、読みはじると、こりゃ、どうにも止まらない。

 暴力団と場外車券売り場と手コキ風俗嬢だけが新橋ではない。椎名誠は流通関係の業界紙に記者として就職した経験をもとに、『新橋烏森口青春篇』を書いた。古いところでは新橋芸者と荷風、高見順『敗戦日記』の新橋。三島由紀夫が自衛隊市ヶ谷駐屯地で割腹した前日に最後の晩餐をした鳥割烹店。三島自決のとき、本橋氏は中学二年生だったというが、私は三十八歳で三島氏と面識があった。

関連記事

トピックス

天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン